嫌なことが忘れられないのはなぜ?楽しいことよりも記憶に残ってしまう仕組みについて

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嫌なことが忘れられないという経験はよくあるかもしれませんが、いつまでも嫌な思いをずっと引きずるよりも、すっきり忘れたいのは誰しも同じことです。仕事のミス、恋人と喧嘩など、思い出すと目の前のことも集中できないほど辛い記憶はなぜか残ってしまうもの。

そこで今回は、気分的にもっと楽に過ごせるよう、嫌なことが忘れられない理由や辛い記憶を消すコツについてご紹介していきましょう。

目次

嫌なことが忘れられないのはなぜか?

人に感謝されて気分がよくなったことよりも、友人に言われた厳しい一言を思い出してしまうことのほうがなぜか多いですよね。過去の出来事を振り返ると、なぜか辛くなることを思い出して気持ちがずっと沈んでしまうことがあります。

なぜ人間は楽しいことよりも嫌なことのほうが忘れられないのか、理由についてご説明していきましょう。

感情が結びつくため

嫌なことが忘れられない一番の理由は、出来事に対して事実と合わせて自分の感情がセットになっているからです。たとえば同僚に「仕事が遅いよ」と言われた時。

「仕事が遅い」という事実だけを記憶しておけばあまり引きずることはないかもしれません。しかしその事実に対して自分が「不快」になった、「悲しくなった」というネガティブな感情が発生し、事実以上に気持ちが記憶に残ってしまうからなのです。

感情と結びつく思い出はなかなか忘れにくく、思い出すたびにその時の気分になってしまうというサイクル。人間はもともとネガティブに物ごとを考える傾向があるため、楽しい感情よりも辛い感情のほうが思い出に残りやすいのでしょう。

危機管理しているため

嫌なことが忘れられないのは危機管理能力のためで、トラブルを避けるために失敗した思い出や最悪の事態を考える癖があるのです。仕事で大きなミスをしていつまでも記憶から消せないのは、またミスしないよう自分に警告していると考えられます。

危機管理能力が高い人ほど過去の嫌な思い出を覚えているといわれています。トラブルを避けることのできる優れたスキルではありますが、かなりの心の負担になることは納得できますよね。苦痛を味わいながら自分を守っているのです。

嫌な思い出は詳細に記憶される

嫌なことと楽しいことはどちらも脳内で記憶されて情報処理されています。「海馬」と呼ばれる脳の部分で記憶を整理し、よい出来事も悪い出来事も一旦そこで保存されます。

しかし毎日蓄積される膨大なデータを整理するために、不要な情報はそこから取り除かれます。嫌な出来事は、まず自分の感じたことが情報としてひとつ保存。そしてその出来事に関する相手の声や表情、場所、におい、温度など、あらゆる情報と共に脳内で処理されています。

逆に楽しい思い出はふわっとしたもので、嫌な出来事ほど脳内で処理する情報がありません。そのため海馬からは先に楽しい思い出が消されてしまうという人間の情報処理も関係しているため、嫌なことが忘れられないと感じるのです。

嫌なことを引きずる人の特徴

辛い出来事が忘れられないのは、考え方の癖や価値観、性格なども関係していますので、同じ出来事でも人によって解釈の仕方は変わるでしょう。ストレスが多い今の時代、できるだけ楽しい記憶を増やして過ごしたいですよね。

では嫌なことをいつまでも引きずる人の特徴をご紹介していきますので、当てはまる人はこれから意識して改善策を考えてみましょう。

原因を探しすぎる

人間の記憶パターンとして嫌なことが忘れられない仕組みはありますが、人によってはさらに辛い出来事を引きずりやすいことがあります。その理由は、嫌な気持ちの原因をいつまでも探してしまうから。

「あの時、なぜあの人はあんなことを言ってきたのだろう」と嫌な出来事が起こった原因を探し続けるため、必然的に不快な気持ちが継続してしまいます。ストレスを抱えやすい人は、ストレスを手放すことが苦手。

毎日生活していると何かしら「嫌なこと」は発生しますので、そのたびに原因を追究するとさらにストレスが溜まります。考え方が几帳面な人は、徹底的に考え抜くまで満足できないのかもしれません。

自分のせいにしている

いつまでも嫌なことを思い出してしまうのは、自分のせいにしやすいことが原因です。神経質で些細なことでも悩みすぎてしまう人は、「自分のせい」「自分が悪い」と考える癖があるのです。

過去の自分の言動を後悔していつまでも気持ちの切り替えができない時は、最終的にすべて自分のせいだからと納得してしまうのでしょう。罪悪感を抱きやすい人はとくにこのような傾向がありますので、自分ばかりに原因を求めず、違う角度から考える癖をつけることも大切ですね。

不完全が許せない

「あの時、この道を進めばよかった」など、過去の失敗や嫌な思い出をずっと考えるのは、完璧主義者がよくやってしまうことです。何をするにも完璧を狙っているため、自分が期待した通りに物ごとが展開しないとネガティブな思いに。

不完全という状態はとても気分が悪く、完璧にするために考えすぎて結果的に過去の失敗例が記憶から引き寄せられてしまうのでしょう。

忘れようと無理をする

過去の嫌な出来事を考えないように意識するのは逆に悩みすぎる原因です。考えすぎる性格を自覚している人は、悩みすぎる自分を改善するために逆に自分の弱点に焦点を当ててしまうことも。考えるなと自分に言っている段階で、すでに嫌なことを考えていることになるのです。

辛い記憶を消す方法について

辛い出来事はいつどこでやってくるかわかりません。そのためできれば些細なことはすっきり忘れて過ごしたほうが自分の心は楽に。では、辛い記憶を消すコツについてご紹介しましょう。

体を動かす

嫌なことが忘れられない時は、他のことに意識を集中させるとよいといわれていますが、頭ではわかっていても実践するのは意外と大変です。そんな時は思いきり体を動かして、ウォーキングやジョギングなど、エクササイズするのもおすすめ。

体の中に空気をたくさん取り込むと血液の流れも活発になり、頭の中も整理しやすくなる可能性があります。屋外に出て歩くだけでもリラックスする効果が期待できますし、体を動かして適度な疲労が残ると睡眠の質もアップ。過去の嫌な思い出が残りやすい人は、この機会に運動習慣を始めてみましょう。

感情を切り離す

辛いことを忘れるためには、その出来事に対する自分の感情を思い出さないことがコツです。事実だけを意識して「上司に文句を言われた」という出来事だけを考えるようにしましょう。

なぜそんな言い方をしたのか、どうしてあんなことが起こったのか、その時に感じた気持ちに触れないこと。すでに起こった事実は変えられないと気持ちを切り替えるよう練習してみてください。

忙しく過ごす

嫌なことを思い出すのは、それだけ考える余裕があるということなのでしょう。もし他にやることがたくさんあり、過去を振り返る時間がなければ自然と意識を切り替えることができます。

嫌な気分になったら家の掃除をしたり、仕事なら急ぎの作業に取り掛かったり、楽しい出来事のようにあっという間に時間が過ぎる工夫をしてみてください。

まとめ

嫌なことが忘れられない経験は、誰にとっても悩みの種です。この原因は、感情が事の核心と深く結び付いていること、危機管理の機能、そして辛い記憶が詳細に記憶されるために起こります。嫌な思い出を引きずる傾向は、性格や価値観、考え方のクセにも大きく依存しており、完璧主義や自分を責めがちな人が特にこの傾向にあることが指摘されています。

しかし、辛い体験から切り替えるためには有効な方法も存在します。運動をして心身をリフレッシュさせる、考え事を客観化して感情を切り離す、忙しいと感じるほど活動的に過ごすなど、意識的にアプローチすることで心理的な負担を軽減できます。

嫌な体験は避けられないことも多いですが、そこから学び、前向きに進むための一歩として捉えることで、人生における大切な成長の機会として活用することができるでしょう。

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